動産・債権譲渡特例法について

平成10年10月1日、民法の対抗要件の特例として、法人が金銭債権の譲渡等を登記することによって、債権譲渡の第三者対抗要件を具備することができることを定めた「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(略して債権譲渡特例法)」が施行され、債権譲渡登記制度がスタートしました。この制度の最大のポイントは債務者への通知や承諾を必要とせずに第三者対抗要件が具備できるようになったことです。しかし、債権譲渡したことが商業登記簿に登記される制度であったため、誰でも取得できる登記事項証明書に債権譲渡をした事実が記載されることから、信用不安が拡がる懸念が残っていました。

そこで、その後平成17年7月26日の法改正によって、この債権譲渡特例法は「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(略して「動産・債権譲渡特例法」)」としてバージョンアップしました。この「動産・債権譲渡特例法」における大きな改善点は3つあります。まず債権譲渡事実の商業登記簿への登記がなくなり、東京法務局の債権譲渡登記ファイルへの登記となったこと。次に債務者の特定していない将来債権の譲渡についても原則10年以内の存続期間をもって、債権譲渡登記の対象に加えたこと。最後に動産の譲渡についても債権と同じように動産譲渡登記ファイルへ登記することで第三者対抗要件を具備できるように定めたことです。

この動産・債権譲渡特例法は平成17年10月1日から施行され、同時に新しい動産譲渡登記制度と債権譲渡登記制度もスタートしました。こうした法整備によって、法人の資金調達手段は一層多様化してきています。

売掛債権担保融資とファクタリングの比較

  動産譲渡登記制度 債権譲渡登記制度
申請人
  • 法人の譲渡人と譲受人の共同申請
  • 法人の譲渡人と譲受人の共同申請
登記対象
  • 法人が譲渡人となる動産の譲渡
  • 譲渡目的は問わない
  • 個別債権・集合債権を問わない
  • 貨物引換証等が作成されているものは対象外
  • 法人が譲渡人となる金銭債権の譲渡
  • 譲渡目的不問
  • 個別債権・集合債権を問わない
  • 債務者不特定の将来債権も対象
登記の方法
  • 東京法務局の「動産譲渡登記ファイル」に登記事項を記録
  • 東京法務局の「債権譲渡登記ファイル」に登記事項を記録
主な登記事項
  • 譲渡人の商号及び所在地
  • 譲受人の名称及び住所
  • 登記原因及び日付
  • 譲渡動産の特定に必要な事項
  • 登記の存続期間
  • 登記番号
  • 登記年月日
  • 譲渡人の商号及び所在地
  • 譲受人の名称及び住所
  • 登記原因及び日付
  • 譲渡債権の総額(既発生債権の場合)
  • 譲渡債権の特定に必要な事項
  • 登記の存続期間
  • 登記番号
  • 登記年月日
登記の存続期間
  • 原則10年以内
  • 債務者特定債権:原則50年以内
  • 債権者不特定の将来債権:原則10年以内
第三者対抗要件の効力
  • 民法178条の引渡しがあったものとみなされ、引渡しと同等の効力を有す。
  • 第三者に対しては民法467条の確定日付のある証書による通知があったとみなす(登記日が確定日付)。
登記事項証明の交付請求者
  • 登記事項全部証明書:譲渡当事者及び利害関係人等に限定
  • 登記事項概要証明書:制限なし
  • 概要記録事項証明書:制限なし
  • 登記事項全部証明書:譲渡当事者及び債務者、利害関係人等に限定
  • 登記事項概要証明書:制限なし
  • 概要記録事項証明書:制限なし