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| 2.民法起草時 |
明治28年民法制定時に起草者は債権の譲渡性が原則として広く認められ、譲渡禁止特約を禁ずる国が多いことを十分認識した上で、※現行法(明治9年制定太政官布告)に鑑み、緩和的、過渡的に譲渡禁止特約規定を置いた。つまり、譲渡禁止特約は起草者が当時の国情に合わせて置いた規定である。
※太政官布告「証文譲り」では証書を書き替えなければ権利は移らなかった。(債務者抜きの債権譲渡契約を認めたものではなく三面契約の更改に近いものであった。) |
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| 3.現在の学説と展望 |
「国際法上においても、起草時の趣旨からも民法466条第二項は全体を削除すべきである。」(その結果、譲渡禁止特約は当事者間での効力を持つのみで第三者には全く対抗できない。禁止特約があるのに譲渡した場合にも譲渡は有効で、債務者から譲渡人に対して損害賠償の請求をなしうるに止まる。そしてその場合は、譲受人は債務者に通知して対抗要件を備えれば、後に債務者の承諾があろうとなかろうと、通知後の差押権者に優越できることになる)
また、他に「特約によって追求されている利益によって分けて考えるべきで、例えば、債権者・債務者間の特殊な人間関係を維持するための特約のように,特約によって追求されている利益が譲渡人・譲受人の利益より優先されてしかるべき場合は,特約は悪意者には対抗できるが善意・無重過失の者には対抗できず、それ以外の,特約がもっぱら(ないしは主として)債務者の利益を追求する場合では,悪意者にも対抗できないとする。「債権譲渡禁止特約の効力に関する疑問(ニ)」米倉明著
という制限的解釈として有力な学説がある。要するに債務者の利益を保護することにどれだけの合理性があるのかということである。
立法時の時代的限界、債権流動化等の国際的趨勢、経済産業省の売掛債権についての譲渡禁止の撤廃(平成14年2月21日日本経済新聞)等を鑑みれば確実に民法466条第二項に関する解釈は削除または制限的に考える方向にある。 |
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| ■現状分析と実務 |
| 債権譲渡禁止特約のある取引の実態 |
| 経済産業省の中小企業債権流動化研究会の最終報告(平成13年3月)の資料にあるとおり社数ベースでは17.3%の債権譲渡禁止特約の取引が存在している。また、資材調達額ベースでは45.1%の債権譲渡禁止特約の取引が存在している。また資料では譲渡禁止特約を設けている企業のうち60%以上の企業は特約があっても、一定の条件が満たされれば債権譲渡の申し出があれば承諾するとしている。つまり、実務的には債権譲渡禁止特約があっても債権譲渡はほとんど可能である。しかしながら、実務上債権譲渡禁止特約付の債権をどう処理するかが売掛債権担保融資ノウハウの要諦となっている。 |
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| 1.譲渡禁止特約の本来の機能 |
譲渡禁止特約のある売掛債権を担保に融資しその後事故になった場合、通知人が債権者1社だけだった場合、直接売掛金を債権者に支払う例もあるが、ほとんどの第三債務者(売掛先企業)は法的リスクを回避する目的で法務局に売掛金債務を供託する。供託原因は「売掛債権については譲渡禁止特約があり、譲受人の善意・悪意が不明のため、債務者の過失なくして真の債権者を確知できないので供託する。」という内容である。それでは誰に売掛債権は譲渡されるのだろう。
第三債務者が譲渡禁止特約を付す本来の"ねらい"は二重譲渡の防止や特殊な業態・業種先(ヤクザ等)が譲受人だった場合係争に巻き込まれないようにするためのものである。
つまり、譲渡禁止特約の本来の意味は譲渡しないということではなく第三債務者の利益保護のためのものである。(制限的解釈論に立てば債務者の利益を追求する限り,悪意者または善意の重過失者にも対抗できないはずである。)
よって、譲渡通知がくると第三債務者は係争に巻き込まれたくない目的で自動的に売掛金を供託する。 |
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| 2.真の善意の第三者はいるのか |
それでは、譲渡禁止特約で唯一例外である善意の第三者はいるのだろうか?
一般に供託通知に登場する被供託者は債務者(譲渡人)本人、一般債権者(当社含む)、管財人である。その他、被供託者以外では税金の滞納処分による差押の通知の表示がある。これらは国や地方自治体の処分庁である。また、それぞれには譲渡金額または差押金額,送達日が記載されている。(ちなみに国税徴収法16条により抵当権の場合は法定納期限が送達日にみなされるため抵当権の登記日が差押の送達日より以前であっても差押が優先される。しかし、債権譲渡の場合はこの法律を準用はしていない。)
次に各被供託者及び差押人についてそれぞれ善意、悪意の検証を加えよう。
まず、譲渡人についてであるが、まず第三者ではない。善意,悪意を問うべき立場にないということだ。また平成12年4月25日東京地方裁判所において注目すべき判決が出ている。「譲渡禁止特約付の債権を自己の債務の担保に供した者が、譲受人に対し特約違反を主張することは、譲受人が特約の存在について悪意または重過失があったか否かにかかわらず、禁反言の法理に照らし許されない。」
要するに譲渡人の場合はたとえ債権者が悪意の第三者だとしても前言を翻し当該第三者に対抗できないということである。 |
※禁反言(エストッペル)
甲が乙のした表示を信じ、それに基づいて自己の地位を変更したときは、乙は後になって自己の表示が真実に反していたことを理由としてそれを翻すことが許されないという原則。 |
次に一般債権者であるが悪意であるか善意であるかを立証することは困難である。なぜならば悪意の第三者とは「譲渡禁止の特約のある指名債権について、譲受人が右特約の存在を知り、又は重大な過失により右特約の存在を知らないでこれを譲り受けた場合」とあり、見方を変えると全員が悪意であるということも可能な定義である。よって、実務的には譲渡した確定日付の先後関係で争われる。
三番目に管財人についてだが、あくまでも裁判所が任命する立場であるので中立的である。また、資産と負債を調査し財産を確保する役割でもあるから売掛債権についても対抗要件を否認する場合もある。実際、実務上では否認行使できない場合は管財人の選任の性質上受身のためか、悪意、善意の第三者の争点で争っては来ない。(民法466条第二項で争った判例はない。)
最後に差押権者であるが第三者としての悪意、善意を問う立場にないことから譲渡禁止特約に対抗できる存在である。一方、行政は「売掛債権担保融資」推進の弊害になっている譲渡禁止特約を解除していく方向でもある。今後,中小企業活性化のもと売掛債権を流動化することは国の大きな課題であることから第三者の善意・悪意に着目して利害を調整しては来ないだろうという識者の見方もある。
しかしながら、平成9年6月5日の最高裁判例は譲渡禁止特約のある債権について債務者の承諾により債権譲渡が遡及的に有効とならないとした。(差押後承諾:承諾時遡及的有効)よって、実務的にはまず、税金等差押のない債権を選別することが重要になる。
万が一の場合に備えて第三債務者から譲渡承諾書を差押前に取得することが肝要である。
(ベストは融資前に取得することが望ましいが現状困難) |
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| 被供託者等 |
善意・悪意 |
検証 |
対策 |
| 譲渡人 |
第三者ではない |
東京地裁判決H12.4.25「禁反言の法理に照らし許されない」 |
債権譲渡登記で第三者対抗要件具備 |
| 一般債権者 |
確知できない第三者 |
善意・悪意を確知できないため先後関係で争われる。 |
債権譲渡登記で第三者対抗要件具備 |
| 管財人 |
第三者としての悪意・善意を問う立場に無い中立的 |
対抗要件を否認できない限り、実務的には争って来ない。案件によっては禁止特約を主張してくる管財人もいる |
従来型の留保型では対抗要件の否認を主張された。登記型では主張されない。よって、債権譲渡登記で第三者対抗要件具備 |
| 差押権者 |
第三者としての悪意・善意を問う立場に無い |
実務的には税金等滞納のある譲渡禁止特約付債権は扱わない。 |
債権譲渡登記で第三者対抗要件具備速やかに譲渡承諾書を取る |
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※参考文献
「債権譲渡法理の展開」池田真朗著 経済産業省中小企業債権流動化研究会レポート |
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